📅  2022-09-14

ゴダール逝去に想う

🔖  Cinema

不達の犯罪映画を想う


 いきなり飛び込んできたゴダール死去の報。ちょうどほぼ1年前に亡くなったジャン=ポール・ベルモンドの追悼ということで、リストアされた『勝手にしやがれ』と『気狂いピエロ』をwowowほかで放映したばかりの訃報でした。なんというタイミング。しかも自死だったとか……(スイスでは合法なのですね)。

 リストアされた代表作二本は、どちらも犯罪を描いた、あまりにも有名な初期作品ですが、今見直しても、ある意味とても新鮮です。独特なカットつなぎ、断片的な音楽の的確な挿入、そして白黒の明暗やカラーの色彩感覚など、当時はとても斬新だったでしょうし、屹立したきら星のような作家性・個性を今でも感じさせます。初期作品とはいえ、スタイルはすでに完成されていますね。

 ゴダールはその後、芸術としての映画のほうへと全面シフトしてしまい、すでに完成済みのスタイルを幾度となく繰り返していくように思われますが、個人的にちょっと残念かもと思うのは、この二本に共通していた「犯罪映画」そのものを練り上げる方向にはいかなかったことでしょうか。そのスタイルは、ある種の哲学的な犯罪映画にこそ映えるように思います。誰か継ぐ人はいなかったのか、あるいは今なおいないのか、とつい思ってしまいます。

 

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