📅  2022-11-04

ボストン市庁舎

🔖  Cinema

民主主義の力量


 行政の幅広い対応を描いたドキュメンタリー『ニューヨーク公共図書館エクス・リブリス』がなかなかよかったフレデリック・ワイズマン。その新作『ボストン市庁舎』を、wowowオンデマンドで見てみました。『エクス……』は3時間越えの長編でしたが、『ボストン……』も4時間超えの長尺です。とはいえ、個人的には退屈しません。主に描かれているのが、市民と行政との集会などでのやりとりだからでしょうか。対話が民主主義の基本だということを、改めて感じさせます。

 つなぎのように時おり差し挟まれる風景や行政サービスの現場の映像なども、とても詩的です。今回はとくに民主党系の市長が主役のような役割で、その演説がまたいいですね。自分たちもまた市民との対話を通じて学んでいるんだということを、何度も口にします。この姿勢。民主主義的な力量が、そこに感じ取れます。為政者のある種の理想的イメージですね。謙虚に「学ぶ」ということを口にしなくなれば、その為政者は民主主義的にはおしまいじゃないかと思います。そうなってしまうと、あとは専制への下り坂しか残されていないのでは、と。

タグ

)