📅  2023-01-15

デモクラシー話

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民主主義って手直しできるのかしら?


 今週は個人的に一つ大きい仕事が終わり、ほっと一息。この一ヶ月ほどというもの、にわかにその準備をしなくてはならず、大変でした。デモクラシーについての講演会に通訳として参加するというので、いろいろ仕込みを行いました。全然時間が足りませんでしたが、とりあえず、フロラン・ゲナール『普遍的デモクラシー——』(スイユ、2016)と、宇野重規『民主主義とは何か』(講談社現代新書、2020)に目を通せたのはよかったです。

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 前者は、デモクラシー他のデモクラシーのモデルになりうるし、普遍性をも持ちうるけれども、そのようなモデル・普遍性は哲学的な大上段の理念・概念から演繹的に発するものであってはならず、むしろ帰納的に、経験から発する参照のモデルとして捉えられるべきだとする議論。厳密なデモクラシー定義のコンセンサスがない(!)のをいいことに、非民主的な政体が「デモクラシーでござい」を名乗るのに、黙っていてはいけない、ということで、流動的ながら経験論的に定義を狭めることを提唱している感じです。

 後者も基本路線としては、民主主義のとりあえずの定義が、選挙だけでいいのか、それともその後の行政にも市民が介入すべきなのかとか、多数決でいいのか、少数派の見解を尊重すべきなのかとか、デモクラシーはあくまで理念なのか、それとも制度なのかなどなど、難題を取り上げています。もちろん簡単にはいかないテーゼですが、市民の参加、少数意見の尊重など、理念と制度の兼ね合いなど、中道的な方向を推奨しています。いや〜、でも、もっとはっきり、行政への市民の介入ができる仕組み作り、少数派の意見が生かされる仕組みなどの提言がほしいです。手直しとかできないもんでしょうかねえ。

 個人的に、政府の閣議決定というのがこれほど乱発(暴走?)されてしまっているのも、なんとかしてほしいです。そういうのを特権にせずに、なんらかの規制ルールを定めるべきかと。

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