著書も興味深い大竹伸朗
昨年秋から2月始めくらいまで開催されていた大竹伸朗展(東京国立近代美術館)。なぜか会期を3月始めまでと勘違いしていて、結局見過ごしてしまいました。残念。そんなわけで、その比較的新しいエッセイ集を読んでみました。『見えない音、聴こえない絵』(ちくま
大竹伸朗といえば、80年代後半あたりに『すばる』(だったかな?)とかで連載を持っていたような気がします。その頃から、文章ににじむ無頼な感じ、「東京はぬるい」と言い放つ豪胆さに、心動かされるものがありました。で、今回読んだこのエッセイ集も、同じようにどこか低音で響くような、とても内蔵的な(?)打撃の感覚にあふれています。絵画作品・造形作品などにも通底する、濁りみたいなもの。でも、それは不快なものでは全然ないのですよね。絵画制作を動機付ける得たいの知れないもの(こみ上げ突き上げてくる何か?)を、言葉で捉えようとして捉えきれない、見極めがたいものがちりばめられている感じです。